目上の人の「長話」を一発で打ち切る方法
■すべて「7文字」で終わらせよ
限りあるビジネスマンの労働時間を無情に奪うもの……。それは上司の長話です。無駄で不毛な長話に付き合わされ、結果、残業や休日出勤の責め苦に喘いだ経験のある人は少なくないことでしょう。彼らはなぜ長話をするのでしょうか? 上司が社長とゴルフに行った、などの自慢話を延々とするのは一種の演出、権威付けのためでしょうか。自分が何を言いたいのかわからず、話をしながら考えを整理するタイプの上司は必然的に話が長くなりますし、単に話を短くまとめる能力に欠けている人もいます。ですが、上司の中でも特に多いのが「過去の自慢話をする」タイプです。真偽も不確かな妄想交じりの武勇伝を延々聞かされる部下はたまったものではありません。
あなたは歯を食いしばり上司の武勇伝を無限に受け入れなければならないのでしょうか? いいえ、そんなはずがありません! 時間を無駄にする社員は会社のコストを高めており、そして時間の無駄の最たるものこそが上司の武勇伝なのです。上司の長話に1秒付き合うごとに会社へ損失を与えていると考えるべきであり、1秒でも早く長話から抜け出すことこそが全ビジネスマンの至上課題なのです!
では、「どうやって長話を切り上げるか」ですが、そもそも長話が始まった時点で負けだ、という考え方もできます。実際に暴漢に出くわしてからエイッ、ヤアッと敵を倒して窮地を切り抜ける護身術は下策です。至上の護身術はそんな危険な場に初めから近付かないことでしょう。つまり、あなたは「上司から長話をされないような人間」になればいいのです。プレジデント誌アンケートの結果、さまざまな理由が見えてきました。この調査をもとに今回は「長話の切り抜方」を考えてみましょう。
※アンケート調査概要:「どうやって長話を切り抜けるか」について編集部とアイブリッジで実施。20~50代の働く男女320人より回答を得た。調査日は2015年12月16~18日。
例えば、このようにすればいいのです。上司が仕事に対して進捗の確認などを求めてくる場合もあります。報連相は社会人の基本ですが、しかし、これは時と場合と相手によります。報告とは、要は相手が不安になったときに求められるものであり、それ自体はプロジェクトに対して何らの付加価値も生まないものです。そこに上司からの適切なアドバイスなどがなされることで、報告にはプラスの価値が生まれますが、相手がダメ上司であれば不要なアドバイスで現場が混乱させられるばかりか、さらに武勇伝などに発展してしまい、目も当てられぬ事態に陥ります。なので、相手によっては、あらゆる会話を最小限にしたほうが安全です。そのためには、進捗などの情報はこまめにまとめて、あらかじめメールなどで逐一報告しておくといいでしょう。
「あの件の現状なんだけど……」
「メールしました」
「現状はいいとして今後の展望は……」
「メールしました」
「言っちゃなんだけど、僕の若い頃は……」
「メールしました」
このようにすべてを「メ」「ー」「ル」「し」「ま」「し」「た」の7文字で終わらせることができます。もちろんそのメールの内容がわかりにくければ、「これどういうこと?」と問いかけられてそのまま武勇伝に移行されますので、もう、ぐうの音も出ないほどにわかりやすいメールを送るべきです。
■なぜ社内会議には必ず遅れるべきなのか
しかし、以上のようなどう考えても上司の反感を買う護身術を全うするには、あなたには完璧な自己管理と自己保身能力、さらには情報整理能力と優れた文面化能力が要求されます。誰もがそんな完璧超人とはなれません。そこで少しばかりの演出を加えることにしましょう。まず社内会議には必ず遅れて入室します。あまり遅刻が甚だしいと、それはそれで叱責→武勇伝コンボを決められますので、そうですね、10秒あたりが妥当でしょうか。会議が始まり上司が一同を見渡して、「あれ? **くんはまだか?」と思った矢先に、あなたはスマホを片手に慌ただしく会議室へと飛び込むのです。そして、今まさに商談を慌てて切り上げたかのような口ぶりで電話を切って着席し、関係書類を叩きつけるように机に並べます。これだけ忙しさをアピールをすれば上司は十中八九、
「大丈夫か?」
と聞いてきますので、間髪入れずにあなたはこう答えてください。
「大丈夫です! ちゃんと時間空けてますんで!」
これは「時間を空けている」=「次の予定が埋まっている」という暗示であり、「無駄話で会議を長引かせやがったらしょうちしねえぞ」という意味です。上司に確実なプレッシャーを与えることができるでしょう。また普段でも、上司が作業中に話し掛けてきた場合など、直ちに返答をしてはいけません。そのまま5秒ほど、手元の書類を恐ろしい眼光で睨みつけてから、ようやく上司の顔を見上げましょう。それから悲鳴を絞り出すように、
「今すぐ……時間をつくります……少しだけ、お待ちいただけますか……」
と告げるのです。「いま大事な仕事で手が離せませんが、上司さまのありがたいお話を拝聴する時間を何とか捻出いたしますよ。くそ忙しいけど。くそったれ」という雰囲気を全力で出してください。こうした日頃からの演出で「俺は忙しいアピール」を繰り返すことにより、長話のターゲッティングを回避することができます。ただ、これの問題は、あなたがある程度、実際に仕事ができなければいけないということです。ロクに結果も出さないのに日々忙しそうに跳ね回っていると、単に落ち着きのない子だと思われます。
■会議とは「ゲーム」である
会議の話が出ましたので、会議を可能な限り早く終わらせる方法についても検討しましょう。まず大切なことですが、あなたはもしかして会議というものを「一つの事案に対して複数人で多角的な意見を戦わせて、よりよいアンサーを得るもの」と考えてはいませんか? そのような認識は百害あって一利なしです。直ちに改めてください。
ダメ上司たちにとって会議とはそういうものではないのです。いいですか。会議とは「上司の話をできるだけ多くの人に聞いてもらうためのもの」です。言い換えれば、「上司がやりたいこと、言いたいことを通すための場」であり、「これは合議の上で決まったんですよ、という体裁を繕うためのもの」です。多角的な視点だの、あなた独自の切り口だのは一切必要とされていません。そんな発言をしても会議が無駄に長引くだけです。これをきちんと理解していないと周りの同僚たちからも白い目で見られますので気をつけてください。
つまり会議とは「上司が何をやりたいのか」「何を言いたいのか」をできるだけ早く探し当てるゲームといえます。誰よりも早くそれを見抜き、誰よりも早く発言しましょう。上司は「オッ、きみ、まさにそれだよ! 私の言いたかったことは!」などと言ってあなたを褒めそやし、会議は速やかに終了します。
飲み会についても言及しておきましょう。読者は飲み会など時間の無駄の最たるもの、飲みュニケーションなど時代ではない、と考えていませんか。それはもちろん間違いのない真理ですが、とはいえ、場合によっては出席を避けられぬのが社会というものです。
飲み会での長話対策としては、「上司を酔い潰す」という方法を取る方が多いようです。確かにそれも一つの方策ですが、しかし、飲みの場は時短のためのチャンスでもあります。そう、あなたが上司を「教育」するチャンスでもあるのです。機を捉えては上司にこんなことを吹聴しましょう。
「いやあ、**部長の話は本当に素晴らしいですね!」
「なにせ短い! 短いからインパクトがあって、心に響く!」
「話を短くまとめるのは、頭が良くないとできない!」
などと、あなたの上司に「話が短い=素晴らしい」という価値観をねちねちと植え付けていくのです。無論、人間、簡単には変わりませんから、繰り返し、繰り返し、粘り強く上司を教育していく必要があります。
忙しさをアピールし、会議では可及的速やかに上司の意を汲み、飲み会では執拗な教育を行う……。ですが、ここまでしても、なお長話をしてくる手強い上司もいるでしょう。そんな相手には小手先のテクニックで乗り切るしかありません。「電話」と「トイレ」です。
着信が来たフリをして長話を抜け出すのは、ビジネスマンなら誰もが一度は経験のあるオーセンティックなメソッドといえます。ですが、あまりにも一般的であるために、上司も「本当に着信が来たのか?」と疑いを抱く可能性があります。これにリアリティを与えるための筆者のオススメは、同僚たちと互助組織をつくることです。互助組織の誰かが上司の長話に捕まったなら即座に彼のケータイに電話を掛けましょう。そして彼が電話に出た隙に、別の組合員が「課長、この件で少しよろしいですか」とインターセプトを仕掛けて上司の話の腰を折るのです。
「すいません、ちょっとトイレに」も有効でしょう。いかんせん生理現象なので上司も行くなとは言えません。ですが、これもあまり多用していると上司に不信感を抱かれます。その不信感が仕事にまで響いてきたら大変ですので、いよいよとなった場合は思い切って切り札を切ってください。
切り札……そう、上司の目の前で実際に失禁するのです。確かにハイリスクな選択肢ではあります。ですが、一度これをやり遂げてしまえば、あなたは己の便意にこれ以上ないリアリティを与えることができます。上司もこれ以降はトイレのトの字を出しただけで、「直ちに行ってきたまえ!」と即答することでしょう。
冗談のように聞こえるかもしれませんが、飲み会の最中に酔い潰れて失禁し、それ以来上司から長い飲み会に誘われなくなった、絡まれなくなった、というアンケート回答が届きました。上司の長話を切り抜けるためには、時としてこれほど苛烈な行動が必要だということです。同僚からも「上司の長話を簡単に切り抜けている」「デキる社員だ!」と思われ、評価もプラマイで言えばプラスになるはずですから、一時の恥など気にしていてはいけません。
しかし、ここまでやってもどうにもならない、長話の権化の如き上司もいるでしょう。そういう相手にはもういっそのこと、「あなたのお話は僕には難しすぎるようです」などと言って、愚鈍な笑みを浮かべながら立ち去るという手もあります。無論、その上司はあなたのことを使えない愚図だと思って見限るでしょう。
ですが、見限られて何か問題があるのでしょうか?
上司、特に課長クラスにとって最も大事な仕事は部下のモチベーションコントロールなのです。長話で部下を辟易させて、作業時間を無為に奪う上司がそれ以上出世できるはずがありません。つまり、そんな上司にどう思われようがどうでもいいのです。そもそも、相手が尊敬できる立派な上司であれば、どんなに長く話をされても「僕のためにこんなに時間を使ってくれて……」と感謝しかないはずです。「長話」と認識している時点であなたは相手のことを蔑んでいます。そんな相手は早めに見限って、より有能な上司に取り入ることこそが正解ではないでしょうか。
そして最後に、上司の長話を完全、完璧に断ち切ることができる最強の方策をお教えします。それは出世してあなたが上司になることです。もはやあなたに長話をする上司はどこにもおらず、それどころかあなたは部下に対して長話し放題。どんなに長話しても誰も文句を言えません。
まだまだ年功序列の残る日本社会。今の苦境に耐え、時間が過ぎるのを待てば次に笑うのはあなたです! 本稿の手練手管を参考に荒波を雄々しく乗り越えてください!
(出典 news.nicovideo.jp)
コメント
コメントする